ユエン・フォンは酸素吸入なしでは呼吸できず、まして教会へ行くことなど到底できなかった。
そこで、娘のキャシーは結婚式のほうから母親のもとへ来てもらうことにした。香港の将軍澳病院では、医療スタッフが病室をパーティー会場へと変身させた。パステルカラーの風船、ユエン・フォンの首元に飾られた花、そして祭壇の役割を果たす病院のベッド。そこではケーブルやモニターに囲まれながら、キャシーとカーティスが中国式の茶礼を行い、祝福のしるしとして母親にお茶を差し出した。

酸素マスクの下で顔がほとんど見えないユエン・フォンは、娘の手を取り、すべてを言い表す言葉を口にした。「彼女を大切にして。私の目に入れても痛くない娘です」。後にキャシーは、この日が母親に病気と闘い続けるもう一つの理由を与えてくれればと願っていたと明かした。


